ライオンのたてがみは何の為にあるの?~たてがみの秘密~ - ライオンを知る

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ライオンのたてがみは何の為にあるの?~たてがみの秘密~

ライオンのオスといえば、まず たてがみ (鬣)を思い浮かべる人が多いと思います。
もちろん私もそうです。あの立派なふさふさしたたてがみはオスライオンの象徴です。
ではこの たてがみ、オスにしかありませんが一体何の為にあると思いますか?

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参考:サファリパークの大人のオスライオン

ダーウィンの学説では、ライオンのたてがみは、
『オスどうしが戦う時に首や頭を守るためにある』 とされています。

なるほど確かに、急所であるノドのあたりを噛まれた時に、
牙が深く食い込むことを防いでくれそうな気がします。
この学説は今でも広く一般的に知られていて、いろいろなところで普通に見聞きします。

ところが、ライオンのたてがみを研究しているペイトン・ウエスト博士が、
このダーウィンの学説をくつがえすような実験結果を示しました。
それは「ライオンのたてがみは首や頭を守るために生えているわけではない可能性」
を示す実験結果だったのです。

ではもし仮にそうだとしたら、ライオンのたてがみは一体なんの為にあるのでしょうか?

この内容が『知らざれる野生「ライオン たてがみの秘密」』(NHK BS-hi)で放送されていましたので、
以下にその内容をまとめました。


たてがみは首を守る為のものではない?


たてがみはオスにしか生えていません。そのオスも、赤ちゃんの頃にはまだ生えていなくて、
1歳頃から少しずつ顔の周りの毛が伸びていきます。

2歳頃になると胸にも毛が生え、頭の上に毛のふさができてきます。
そして4歳くらいで完全なたてがみになります。

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参考:たてがみの未熟なサファリパークのオスライオン(2~3歳)

ダーウィンの学説では、ライオンのたてがみは、
『戦う時に首や頭を守るためにある』 とされていますが、これは本当なのでしょうか?

ペイトン博士は、たてがみが首を守る為のものなのかどうかを調べるために、
アフリカに暮らす野生のライオンで実験をしました。

たてがみの無いライオンの等身大の模型を用意し、
それをライオンの群れのなわばりの真ん中に置き、
博士たちは50メートル離れたところから観察。

さらにスピーカーからはライオンの声を流します。
こうすることでこの群れのライオンたちに侵入者が来たと思わせるのです。

ライオンイラスト_1
フリークリップアート動物素材 さんのイラストを加工利用させていただきました。

しばらくすると、スピーカーから流れた声を聞きつけたオスライオン3頭が、
警戒しながら近づいてきました。ものすごい緊張感と迫力です。
オスたちはこの模型を自分たちのなわばりへの侵入者だと思っているようです。

ダーウィンの学説 「ライオンのたてがみは、オスどうしが戦う時に首や頭を守るためにある」
というのが本当ならば、この3頭のオスたちはきっと模型の首や肩を攻撃するはずです。
ある程度距離をつめると、3頭のオスたちが一斉に模型にとびかかりました。

しかし3頭とも模型の後ろにまわり、背中からかみついたのです。
同じ内容の実験を他の群れでも試してみても同じ結果になりました。

ペイトン博士はこの結果から、たてがみは首を守る為のものではなく、
他の意味があるのではないかと考えました。


たてがみは強さを表すシグナル


博士は、たてがみの謎を解くカギは、その色や大きさにあるのではないかと考えています。

博士たちの研究チームの長年の調査から、長くて濃い色のたてがみを有するオスの方が、
短くて薄い色のたてがみを有するオスよりも強くてたくましいことがわかってきました。

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参考:たてがみの色が濃いオスライオン

たてがみの色は年齢や遺伝よりも、その地位によって変わると考えられます。

オスは敵を倒して自信がつくと脳から精巣に信号が送られます。
すると 「テストロン」 というホルモンが分泌されます。
この 「テストロン」 がライオンのたてがみを黒く長くするそうです。

黒くて長いたてがみは強さを表すシグナルであり、
そのシグナルを理解していれば無駄な争いを避けることができると考えられます。


たてがみの色が濃いオスはメスを引き付ける


博士は、たてがみの色が薄いオスよりも濃いオスの方がメスを引き付けると言います。
その可能性を示すのが次の実験結果です。

今回はライオンの等身大の模型を2体用意。
片方の模型には薄い色のたてがみを、もう片方には濃い色のたてがみを装着します。
たてがみの長さは同じです。

この2体の模型を少し距離をおいて並べて置き、
スピーカーからはハイエナがエサに群がっている時の声を流します。
この声はライオンのメスを呼び寄せるのに有効な手法なのです。

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フリークリップアート動物素材 さんのイラストを加工利用させていただきました。

するとやってきたメスは、実験10回のうち9回はたてがみの濃い色の方に近づいていきました。
薄い色のたてがみよりも、濃い色のたてがみの方がメスを引き付けるようです。
ではこれはなぜなのでしょうか?

ペイトン博士は、たてがみの濃い色は 「自分が強い」 ということを示していると言います。
メスはそれを健康で強いオスだと感じ、
濃いたてがみのオスを選んでより良い子孫を将来に残そうと感じるのだそうです。

実際私も、今までに全国のたくさんの動物園やサファリパークで多くのライオンを見てきましたが、
オスを複数頭飼育しているサファリなどでは、
そのライオンの容姿の美しさ等とは関係なく、
たてがみが真っ黒のライオンのまわりを複数のメスライオンが囲んでいるのをよく目にします。

ただし、野生と違って人間の管理下であるサファリパークの場合は、
ボスをメスライオンではなく人間が選んで決める場合も多くあります。

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参考:サファリパークのライオンの群れ


たてがみのほとんどないライオンが存在する


ケニアにある 『ツァボ国立公園』 にもライオンは生息しています。

しかし、タンザニアの 『セレンゲティー国立公園』 で見られるライオンと違って、
このケニアのツァボ国立公園のオスライオンには、ほとんどたてがみがありません。
たまに黒くて濃いたてがみの個体も見かけますが、長さはとても短いのです。

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参考:たてがみの色は濃いが長さは短いオスライオン(動物園)

こちらに2つの地図を用意しました。
左はアフリカ大陸全域の地図です。ケニアとタンザニアの位置関係は以下の通りです。

アフリカ大陸地図_1 アフリカ大陸地図_2
白地図、世界地図、日本地図が無料 【白地図専門店】 さんの白地図を加工利用させていただきました。

右はケニアとタンザニア周辺の地図です。

セレンゲティとツァボ、どちらも赤道に近く、それほど離れてはいないのですが
なぜそのようにライオンの見た目に違いがあるのでしょうか?
それには生活環境の違いが関係しているようです。


ツァボとセレンゲティーの違い


ツァボはセレンゲティーと違って、海に近い場所にあります。
その為、ツァボには海から湿った熱い風が吹くのです。
ツァボの気温はセレンゲティよりも5℃程高く、湿度は約2倍もあります。
ツァボは湿度が高く、暑い所なのです。

また、こんな違いもあります。ツァボのオスはメスと一緒に狩をします。
これはセレンゲティでは見られない光景です。

普通、群れにいるライオンのオスは狩には参加しません。
狩は群れのメスたちが協力して行い、
オスは後からやってきてメスが捕えた獲物の分け前をもらうということがほとんどです。

ですが、ツァボのオスはメスと一緒に狩をします。これには体温が関係しているようです。
計ってみると、セレンゲティのオスはメスより体温が高かったのですが、
ツァボのオスの体温はメスとほとんど同じでした。

セレンゲティのオスの体温が高いのは、
その立派なふさふさのたてがみが理由だと考えられます。


あまりに暑いツァボでのライオンたちの暮らし方


また、食事の際にもその違いが明らかになりました。

ツァボのライオンたちは狩で獲物を捕えると、
その捕えた獲物を置いてその場を離れてしまいました。
そして木の影で休み始めました。

これは、気温が暑すぎるというのもありますが、
狩の際に走って体温が上がったのを一旦休んで下げようとしているようです。

しばらく木陰で休むとまた食べに行き、しばらく食べるとまた木の陰へ移動。
こんなことを何度も繰り返しながらゆっくり食べています。

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参考:木の木陰で寝るサファリパークのオスライオン

ですがこれはセレンゲティではありえない光景です。

セレンゲティのライオンたちは獲物を捕えると急いで食べようとします。
なぜならゆっくり食べていたら他の動物に奪われるからです。

空にはハゲワシ等の鳥たちが、
陸にはハイエナやジャッカル等他の肉食獣たちがいくらでもいて、
いつでも獲物を横取りをする機会を狙っています。もたもたしていたら、
その騒ぎや臭いや音を嗅ぎ付けたライバルたちがあっという間にやってきて、
せっかく捕えた獲物を取られてしまい、
自分たちは食べることができなくなるのです。
(参考 「ライオン・バトルフィールド[DVD]」 ) 

食べることよりも休憩することを優先するツァボのライオンたち。
それほどまでにここは暑い土地なのです。


ツァボのライオンはたてがみを捨てた


蒸し暑いツァボでは長いふさふさのたてがみは暑くて邪魔になります。
また、ツァボにはセレンゲティと違って藪がしげっています。
この藪の中で暮らすには長いたてがみは木や枝に引っかかって邪魔になります。
ここのライオンたちは進化の過程で長いたてがみを捨てたのです。

とは言えたてがみが強さを表すシグナルであることにはかわりはありません。
ツァボのオスはたてがみの長さは短いものの、色の濃いもの薄いものといるからです。


たてがみは生き残りの知恵


このようにたてがみは、
その地位や気候・生活環境など様々なものに影響を受けています。

かつては首を守る為にあると考えられたたてがみですが、
本当は強さを示すことで無駄な争いを避け、
子孫を残そうとする生き残りの知恵だったのではないでしょうか。

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参考:サファリパークのオスライオン


NHKの 『知らざれる野生 「ライオン たてがみの秘密」』 を基に記事を書きました。

その他、参考にしたDVD。

 BBC WILDLIFE EXCLUSIVES (ワイルド・ライフ エクスクルーシブ)
  Lion Battlefield (ライオン・バトルフィールド) [DVD]

  ドキュメンタリー
  TCエンタテインメント (2006年3月)
  


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