雄ライオンはただの怠け者なんかじゃない!!~放浪の雄ライオン「ノマド」の苦闘~ - ライオンを知る

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ライオンが大好きな管理人による動物園とサファリの写真日記。全国各地の個性豊かな動物たちを楽しくレポートしていきます。

雄ライオンはただの怠け者なんかじゃない!!~放浪の雄ライオン「ノマド」の苦闘~

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参考写真:サファリパークのライオン

ライオンはネコ科の動物の中で唯一群れを作る動物です。
その群れは 「プライド」 と呼ばれ、
それぞれの群れが縄張りを持って生活しています。

群れのメンバーのほとんどはメスで、群れには普通、
ボスである大人のオスが1~3頭くらいと、
大人のメスが多数、そして小さな子どもたちがいます。
このメスたちはすべて血が繋がっています。

ボスは群れのメスたちとは血縁が無く数年に一度入れ替わりますが、
群れのメスたちは何百年も同じ縄張りを受け継いでいます。

また、ライオンのオスは生まれた群れを3歳になるまでに追い出されます。
メスはずっと群れに残ります。

そして群れを離れたオスは 放浪ライオンノマド) となって、
他の若いオスとともに放浪生活を始めます。
それは他の強いオスの縄張りをさまよい歩くとても危険な生活の始まりです。

強いものだけが生き残れる厳しい自然界では飢えに苦しみ、
1年以内に命を落とすものも少なくはありません。

そして生き残り、力をつけて強くなったノマドはいつか他の群れのボスを倒し、
その群れをのっとるのです。

以下では、NHKで放送されていた
「野生の神秘 ライオン~放浪オスの苦闘~」の放送内容を私なりにまとめました。


放浪ライオン ノマド の食生活


お話の舞台はアフリカのタンザニア連合共和国の
セレンゲティ国立公園」です。

この「セレンゲティ国立公園」の広さは14,000平方キロメートルもあり、
日本の四国くらいの広さがあります。
ここでは約300万頭の動物たちが暮らしています。
「セレンゲティ」 とは現地に住むマサイ族の言葉で「限り無き平原」を意味するそうです。

左はアフリカ大陸全域の地図、右はタンザニア周辺の地図です。
アフリカ大陸地図_3 アフリカ大陸地図_4
白地図、世界地図、日本地図が無料 【白地図専門店】 さんの白地図を加工利用させていただきました。

そして物語の主人公は2歳のオスライオン3頭です。
まだ2歳ということもあり、鬣(たてがみ)はまばらで完全ではありません。
この3頭は兄弟で、最近放浪生活を始めたばかりです。
群れを出てからあまり餌にありつけていないのでしょうか、3頭ともとても痩せています。
若く経験が浅い為なかなか狩りに成功しないのです。

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参考写真:動物園の若いオスライオン 鬣がまだ未熟です

ライオンは狩りをするのは主にメスの仕事で、
オスの役割というのは、他のオスライオンや他の動物から群れを守ることです。

狩りは群れのメスたちが協力して行い、
オスは後から悠然とやってきてメスが捕えた獲物の分け前をもらうということが普通です。

ですが群れを持たないノマドはメスライオンに頼ることができないので、
自分たちで食糧を調達する必要があります。

しかしオスのその立派なたてがみはサバンナでは目立ちすぎて狩りにはあまり向いていません。
ノマドたちはたびたび死肉をあさりながら生活しています。
(参考:「ライオン・バトルフィールド[DVD]」 ) 

この3兄弟も運よく他の動物の食べ残し(と言ってもほとんど骨だけ)を見つけて食べていました。

またある時3兄弟は、地面の中の巣穴で寝ているイボイノシシを見つけました。
イボイノシシの狩りはなかなか難しいのですが、
お腹のすいている兄弟たちは協力して捕まえることにしたようです。

3頭が慣れない手つきで時間をかけて交代で土を掘って穴を広げていきます。
ですが朝方、疲れて巣穴の近くで寝てしまっている時に、
中のイボイノシシは逃げていってしまいました。
やはりイボイノシシの狩りは彼らにはまだ難しかったようです。

以前見た「よみがえれ!伝説の白いライオン」という番組では、
ホワイトライオンのメスがイボイノシシ狩りの最中に、
崩れた巣穴の土砂に埋まって死んでしまうというエピソードがありました。
イボイノシシ狩りは時に危険を伴います。


ボスライオンの役割


こちらはまた別のある群れのお話。

セレンゲティでは普通、ライオンの1つの群れは15頭くらいです。
群れのメスはみな同じ時期に子どもを出産して、協力して子育てをします。
メスはすべて血が繋がっています。

こちらの群れにもメスが数頭と小さな可愛い赤ちゃんたちが数頭、
そしてボスである大人のオスが2頭います。
この2頭は兄弟ですが、メスとの血縁はありません。
一般的にボスは群れの中に1~3頭くらいいて、
複数のボスがいる場合それらは兄弟であることがほとんどです。

メスたちが狩りに出かけましたが、オスは残って小さな赤ちゃんと遊んでいます。
ライオンは狩りをするのは主にメスの仕事で、
オスの役割は群れのメスや子どもを外敵から守ることです。

狩りに出たメスたちが見事ヌーをしとめ、さあ皆で食べようかとしていると、
その騒ぎを聞きつけたハイエナの大群がやってきました。

ハイエナたちはメスたちがせっかくしとめた獲物を横取りしようとしています。
メスたちは取られてはなるまいと必死に反撃するのですが、
そのハイエナの数に圧倒されて獲物は少しずつちぎられ奪われていきます。

そんな時、ボスである兄弟ライオンが後から悠然とやってきて
「これは俺たちの食糧だ!」とハイエナたちを追い払い、
見事に獲物を取り返しました。

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参考写真:サファリパークのオスライオン

その後、取り返した獲物を群れの皆で分け合って食べます。
狩りには参加しなかったオスも平然と分け前をもらいます。
メスたちはこのオスをボスとして認めているため、それを黙って受け入れます。
これは用心棒代のようなものなのです。
(参考:「ライオン・バトルフィールド[DVD]」 )

いじきたない人や浅ましい人のことを「ハイエナのようだ」と例えたり、
映画「ライオンキング」での悪役の影響もあって、
ハイエナはいつも他人のエサを横取りしている悪者のイメージが強いですが、
それは人間が勝手につけたイメージです。

専門家によると、ハイエナがライオンの獲物を横取りするよりも、
ライオンがハイエナの獲物を横取りすることの方が実は多いのだとか。

2頭の兄弟ライオンは食事を終えると縄張りの中を見回りに出かけました。
そして縄張りに他のオスが近づかないように威嚇してうなり声をあげます。
この声は4キロ先にまで届くこともあるそうです。

そんな時、1頭のノマドが群れの縄張りに侵入してきました。

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参考写真:動物園のオスライオン

このノマドは以前この群れをのっとろうとしたことがあるオスです。
すぐに2頭の兄弟ライオンが追い出しにかかりました。

激しい争いの末、ノマドは逃げていきました。
勝ったオスは自分たちがこの縄張りの主であることを主張する為に声を張り上げて吠えます。

しかしライオンのオスはいつまでも群れを守っていけるわけではありません。
少しでも力が衰えると、虎視眈々と狙っているノマドたちに群れをのっとられてしまうからです。


ノマドの挑戦


話はもう一度はじめのノマド3兄弟に戻ります。

その後1年がたち、3兄弟は3歳になりました。
彼らのいるこの地域には12の群れの縄張りがあり、
3兄弟はそのうち7つの群れの縄張りをうろついています。
昼間は他のライオンに見つかりやすいので、暗くなった夜に活動を始めます。

ある時3兄弟は辺りのにおいをかいだ後、口を大きくあけて顔をしかめました。
これはフレーメンといって、発情したメスの匂いを感じ取った時にする行動です。

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参考写真:フレーメンをするオスライオン

近くにメスがいることを感じ取った3兄弟は、そのメスのいる群れの縄張りへと入っていきます。
縄張りの中をうろついていると、そこで先ほどのにおいの主であるメス1頭と出会いました。

この群れは最近病気で数が減り、現在はメス1頭とオスが2頭いるだけです。
そして運よくこの時はそのオスも近くにはいないようで、
これは3兄弟にとって群れをのっとる絶好のチャンスです。

兄弟のうち1頭が慎重にメスに近づいていき、すぐそばで様子をうかがいますが、
メスの反撃にあいました。

このメスは9歳、成熟した彼女にとってこの兄弟は若すぎるのでしょうか?
全く興味を示してはくれません。

実はライオンのボスはメスが決めるのです。
どんなにケンカが強くて他のオスに勝とうが、
メスに気に入られなければボスになることはできないのです。
(参考:「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説2」)

夜明けまで粘ったのですが、3兄弟はあきらめてその場を離れました。

メスはこんなオスが好き
→「ライオンのたてがみは何の為のあるの?~たてがみの秘密~


厳しい季節


それからさらに1年がたち、3兄弟は4歳になりましたが、
まだ放浪生活を続けています。
あまり食事にありつけていないのでしょうか、ガリガリに痩せています。

セレンゲティの乾期は6~11月、この時期は雨が降らず草は枯れてしまう為、
草食獣たちは草を求めて移動してしまいこの地域からほとんど姿を消してしまいます。
大型草食獣のヌーは大群で1000キロも移動することで有名です。

しかし、縄張りをもつライオンは乾季でも移動することはありません。
わずかな食べ物を求めて縄張りの中を歩き回ります。
乾季は草食獣にとっても肉食獣にとっても飢えに苦しむ厳しい季節です。
(参考:「BBC EARTH グレート・ネイチャー[DVD]」 )

この時期は群れにいるライオンでさえも獲物を捕まえるのは難しいほどです。
ましてや放浪ライオンは・・・。
他の動物の食べ残しもないこの季節は飢えとの戦いです。

そして季節は過ぎ、12月になるとセレンゲティは雨季をむかえます。
恵みの雨が降ると3日もしないうちに大地は緑に覆われ、
移動していた草食獣たちもまたこの地域に戻ってきました。
3兄弟は4歳になり、成長した彼らは狩りにも成功するようになりました。
群れをのっとる力はついてきたようです。


ノマドの再挑戦


この地域に、オス1頭・メス3頭の小さなライオンの群れがありました。
そのオスが死んでしまい、
また3兄弟に自分の群れをつくる大きなチャンスがやってきました。

しかしこの群れを狙っているのは彼らだけではありません。
近隣の多くのノマドたちが狙っているのです。

3頭のメスたちに慎重に近づいていく3兄弟たち。
ご機嫌をうかがいますがなかなか自分たちを受け入れてはくれません。

苦戦していると、メスのうちの1頭が兄弟の一番上の兄に自分から興味を示しだしました。
辛い放浪生活を生き残り力強く立派に成長した兄、
その魅力がメスに伝わったのでしょうか?

メスたちは3兄弟をボスとして群れに迎え入れました。
3兄弟は晴れて自分の群れを持つことができました。

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参考写真:動物園のライオン

~おわり~

NHK 「野生の神秘 ライオン~放浪オスの苦闘~」 を基に記事を書きました。


いつもハッピーエンドなわけではありません。
ライオンの数だけいろいろな物語があります。


 王を倒し群れをのっとりさえすれば放浪オスには明るい未来が・・・
 と考えられていましたが、実際は放浪オスの本当の試練は、
 王を倒した後にありました。
 ■ NHKスペシャル 悲しき雄ライオン ~王交代劇 9年の記録~ [DVD]
  ドキュメンタリー
  ケンメディア (2009年5月)   


 ある一つのライオンの群れの約2年間を追っています。
 そのそばで飢えに苦しむノマドたち。彼らは群れをのっとろうと考えます。
 ■BBC WILDLIFE EXCLUSIVES (ワイルド・ライフ エクスクルーシブ)
   Lion Battlefield (ライオン・バトルフィールド) [DVD]

  ドキュメンタリー
  TCエンタテインメント (2006年3月)


 あるライオンの群れからボスがいなくなり、
 この群れのボスになろうと次々にやってくるノマドたち。
 「新しいボス=親王」 の座をめぐる戦いの詳細な記録。
 ■ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 9号[雑誌]
  朝日新聞出版 (2010年10月)

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